(2-31)免疫と健康(高校生物基礎の総復習講座)

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こんにちは。アラフォーパパです。

前回は、「細胞性免疫」について、解説しました。

細胞性免疫の主役はT細胞でしたね。

その中でもキラーT細胞とヘルパーT細胞が中心でした。

キラーT細胞は病原体に感染した細胞を特異的に認識して、直接攻撃し破壊することができました。

ヘルパーT細胞はキラーT細胞を活性化させるだけでなく、マクロファージの食作用を増強することもできていました。

さて、これらの免疫が健康に関わっていることは、疑うまでもありません。

どのように関わっているのかを確認していきましょう。

それではご覧ください。

予防接種

感染症に感染したときに症状を軽くするために必要なのが、予防接種です。

弱毒化した病原体やその産物などを投与することで適応免疫を作動させて、記憶細胞を体内に作る(免疫記憶)目的で行います。

実際に病態が体内に侵入したときには、二次応答が引き起こされるので、素早く対処することが可能です。

そのため、重症に至る前に感染症に対処できる可能性が高まります。

弱毒化した病原体のワクチンははしかや結核(BCG)で、不活化や成分を利用したものはインフルエンザウイルスや日本脳炎があります。

血清療法

「ヘビに噛まれたときには血清を打つ」みたいな話を聞いたことがあるでしょうか。

確かに緊急時には血清を打つのですが、ちょっと正確な言い方ではありません。

血清なら何でもいいわけではないのです。

対象の毒素に対する抗体が含まれている血清を使用する必要があります。

そのため、あらかじめ抗原(毒素)をウマやウサギなどに少量ずつ注射して抗体を作らせ、その抗体を含む血清を採取して準備しておきます。

この毒素に対する抗体を含む血清が治療で使用されるのです。

ヘビ毒だけでなく、ジフテリアや破傷風など緊急を要する場合に行われます。

注意点としては、血清療法の場合は体内で抗体を作るわけではないので、体内にいれた抗体が持続的に守ってくれるわけではないということです。

天然痘

天然痘ウイルスという病原体によって引き起こされる天然痘という病気をご存知でしょうか。

この病気は1980年に根絶宣言がだされ、現在のところ人類が唯一根絶に成功した感染症です。

高い致死率を示す感染症で、世界中で猛威をふるいました。

牛痘(牛の天然痘と思ってもらえばよいです)に掛かったヒトから採取した膿(抗原を含んでいる)を健康なヒトに接種させた場合、天然痘にかからなかったというのが、ワクチンの始まりと言われています。

牛痘ウイルスと天然痘ウイルスの抗原が類似していたから上手くいったのではないかと言われており、記憶細胞が形成され、免疫記憶の成立があったのだと思われます。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症の原因は新型コロナウイルスに感染することです。

新型コロナウイルスはRNAウイルスで、ゲノムがRNAで、感染した細胞の中でウイルスのゲノムRNAがmRNAとして働いてタンパク質を作成します。

さらに、RNAウイルスであることから、変異しやすいという特徴があります。

新型コロナウイルスのワクチンで有名なのは、mRNAワクチンではないでしょうか。

mRNAワクチンは、細胞内に取り込まれるとmRNA内にある情報で作れるタンパク質だけを作成します。

そのため、新型コロナウイルスの完成形が作られる事はありません。

しかし、作成したタンパク質は抗原となりますので、食細胞に取り込まれ、抗原としてキラーT細胞やヘルパーT細胞、B細胞などに提示されます。

そこで活性化したリンパ球が記憶細胞として保存されるので、本物に新型コロナウイルスに感染した際にも二次応答が起きて、素早く対処ができるということになります。

AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)

ヒト免疫不全ウイルス(HIV、エイチアイブイ)が、ヘルパーT細胞に感染して破壊します。

ヘルパーT細胞が破壊され数が減少すると、適応免疫の機能が低下するため、免疫不全の状態になっていきます。

この免疫不全の状態を後天性免疫不全症候群といいます。

後天性とは、先天性(生まれたときから)ではなく、生まれたときにはなかったが生きている間になったものを指します。

症候群とは、様々な症状が同じ原因で起きるときに使われます。

風邪も本来はかぜ症候群といい、咳や痰、鼻水、発熱、頭痛など様々な症状がでるためです。

後天性免疫不全症候群(エイズ)となると、適応免疫の機能が低下していないときにはほとんど発症しない感染症(日和見感染症)に感染しやすい状態になります。

また、がん細胞も免疫機能の低下によって排除されにくくなってしまいます。

HIVは変異しやすく、未だに有効なワクチンは開発されていません。

アレルギー

病原体以外の異物に繰り返して接触することにより、適応免疫の反応が過敏に起こり、体のなんらかの症状が現れることをアレルギーといいます。

よくある原因としては、スギやヒノキの花粉、ハチの毒、小麦などの食べ物、金属類といったもので、多岐にわたります。

症状についても多岐にわたり、接触部位の腫れ、かゆみ、蕁麻疹、喘息、鼻水・鼻詰まりといったものがあります。

特に強いアレルギー反応が起きる場合をアナフィラキシーとしい、血圧低下などを伴うショック状態のときをアナフィラキシーショックといいます。

最悪は死んでしまうこともあるので、アレルギー反応を甘く見てはいけません。

>>アナフィラキシーの症状

自己免疫疾患

自分の免疫によって、自分の細胞が攻撃されることによっておきる疾患です。

本来は免疫寛容が成立しているはずですので、自分の正常な細胞や組織は攻撃されるはずがないのですが、それらが攻撃されてしまいます。

どこの細胞や組織に攻撃をされたかによって疾患名が異なります。

例えば、膵臓のランゲルハンス島B細胞が標的となって破壊されればインスリンがでなくなり、Ⅰ型糖尿病と呼ばれることになります。

また、関節の細胞が標的になると、関節リウマチが起きることになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事は「免疫と健康」と題したものでした。

免疫は体を守ることにも、疾患の原因になることもあります。

知らない間に自分を攻撃するようになってしまうこともありますが、ワクチンのように自分から病原体などに当たりに行くことでその後の疾患を軽く済ませることもできます。

免疫のことをしっかりと学んで、体の中でなにか起きているのかを知ることができるようになりましょう。

ぜひ繰り返しご覧ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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