(2-30)細胞性免疫(高校生物基礎の総復習講座)

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こんにちは。アラフォーパパです。

前回は、「体液性免疫」について、解説しました。

体液性免疫の基本は、B細胞から分化した形質細胞(抗体産生細胞)が産生した抗体が、体液中にながれ、抗原抗体反応を起こすことでした。

しかし、B細胞が抗体を産生できるようになるまでは、樹状細胞による抗原提示やヘルパーT細胞の活性化、B細胞自体の活性化という様々な細胞の関わりがあることを忘れてはなりません。

さらに、活躍したヘルパーT細胞やB細胞は記憶細胞となって、次回の同じ病原体の侵入に備えてくれます。

すばらしい適応免疫のちからですね。

今回は、もう一つの適応免疫である細胞性免疫について深堀りしていきましょう。

それではご覧ください。

細胞性免疫

体液性免疫で活躍した抗体には弱点があります。

細胞膜を通過できないことです。

そのため、細胞内に侵入した細菌やウイルス、移植された他個体の組織やがん細胞に対しては、効果を示すことができません。

そこで、T細胞が活躍します。

細胞が活躍する免疫反応ですので、細胞性免疫と呼ばれています。

細胞性免疫が働くまでの流れを一つずつ確認してみましょう。

T細胞の活性化

T細胞の活性化には、それに先立って抗原提示が必要です。

細菌やウイルスなどの病原体が内部に侵入した細胞は、樹状細胞に認識されて、その情報が抗原提示されます。

この樹状細胞が提示している抗原と一致する抗原情報を担当するヘルパーT細胞やキラーT細胞が、樹状細胞を認識すると活性化して増殖します。

キラーT細胞の活性化には、樹状細胞からの抗原提示だけでなく、ヘルパーT細胞からの働きかけが必要な場合もありますので、注意が必要です。

このようにして、抗体が対応できない感染細胞への免疫応答がおきます。

T細胞

ヘルパーT細胞やキラーT細胞は、それぞれ異なる働きをしています。

ヘルパーT細胞は、B細胞の活性化やキラーT細胞の活性化に寄与するだけでなく、感染組織に移動して、担当している抗原と同じ情報を提示しているマクロファージを見つけると、そのマクロファージの食作用を増強することができます。

このように自然免疫の活性化にも寄与します。

キラーT細胞は、活性化するとリンパ節を出て、感染組織に移行します。

ウイルスや細菌といった病原体に感染された細胞を特異的に認識することができ、細胞を直接攻撃して破壊することで、排除します。

記憶細胞

体液性免疫の際にもヘルパーT細胞やB細胞が記憶細胞として一部残るという話をしましたが、細胞性免疫であっても同様に記憶細胞になる免疫担当細胞があります。

ヘルパーT細胞は同様ですが、キラーT細胞も一部は記憶細胞となって、二次応答に備えることになります。

拒絶反応

臓器移植を行うときなどに出てくる言葉として、拒絶反応があります。

自分のものとは異なる臓器をいれる際に起きるものですが、キラーT細胞が関わっていると言われています。

「自己」、「非自己」の認識の問題なのですが、ヒトの場合はHLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれる抗原が関わっています。

このHLAには非常に多くの型があるため、個人個人で異なる型となっていて、「自己」と「非自己」を判別するための鍵となっています。

移植片をもらったヒトのキラーT細胞が移植片を攻撃するために起きてしまいます。

そのため、移植時には免疫抑制薬を使用することで、拒絶反応を避けるための対策を取っているのです。

>>移植後の生活(日本臓器移植ネットワーク)

また、移植片対宿主病というものもあります。

これは、移植片に残っていた免疫細胞によって、移植された患者さんの体の細胞が攻撃を受けて症状を呈するものです。

このように、免疫細胞に「自己」と「非自己」を見分ける能力があることで、困ることもあります。

細胞性免疫と免疫記憶の実験

細胞性免疫に免疫記憶があることを確認できる実験があります。

系統の異なるマウスを用意し、例えばマウスAからマウスBに皮膚移植を行います。

一次応答がおきますので、10日程度で拒絶反応がおきます。

拒絶反応がおきると移植した皮膚片が脱落します。

その後、同じようにマウスAからマウスBに再度皮膚片を移植すると、今度は5日程度で移植片の脱落が確認されます。

このことから、マウスAの皮膚細胞に対して、マウスBは異物と判断して、免疫反応をおこし、再度皮膚細胞が移植されたことから二次応答がおきて、一次応答の際よりも速く反応したことがわかります。

そのため、免疫記憶が行われていることがわかります。

さらに、マウスCの移植片をマウスBに移植すると10日程度で移植片が脱落することも確認できるため、5日間でのマウスAの移植片の脱落が特別であったことがわかります。

マウスCの場合は、別の異物であったため、一次応答が起きていたということになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事は「細胞性免疫」と題したものでした。

T細胞を中心とした細胞性免疫について理解できましたかと思います。

ヘルパーT細胞やキラーT細胞など、T細胞の中でも役割が異なっています。

しかし、どちらも仕事を終えた後には一部が記憶細胞となって、免疫記憶が起きることも分かっています。

体の免疫は、同じ脅威に晒されたときにすぐに対処できるよう十分な準備を行ってくれていることがわかりました。

ぜひ繰り返しご覧ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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