(3-4)植生の遷移(高校生物基礎の総復習講座)

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こんにちは。アラフォーパパです。

前回は、「計算1」について、解説しました。

光合成曲線の図を用いた計算問題を解説しました。

みかけの光合成速度をしっかりとチェックすることが重要です。

光合成速度と間違えやすいので、注意しましょう。

話題を植生に戻しましょう。

今回は、年月とともに植生が移り変わっていくことについて深堀りしていきたいと思います。

それではご覧ください。

遷移

植生が年月とともに移り変わっていくことを遷移といいます。

遷移は大きく2つに分類することができます。

1つ目は一次遷移です。

植物が生育しておらず、土壌もない状態から開始する遷移のことです。

植物の侵入や土壌の形成に時間を要するため、ゆっくりと進行します。

一次遷移にも種類があり、火山の噴火で出来た溶岩台地や海底火山の噴火でできた新しい島などの陸上の裸地から始まる遷移を乾性遷移といい、湖沼などから始まる遷移を湿性遷移といいます。

最近では、西ノ島が火山噴火により大きくなってきており、この後植物の侵入などによってゆっくりと遷移していくものと思われます。

2つ目は二次遷移です。

山火事や森林伐採跡地、耕作放棄値など、すでに土壌が存在していて、土壌中に植物の根や地下茎、種子(埋土種子)が存在している状態から開始する遷移のことです。

土壌の形成にかかる時間はないため、遷移が短期間で進行します。

乾性遷移

陸上の裸地から始まる一次遷移のことでした。

すべての土地で同じように遷移するわけではありませんが、モデルとなっている流れがあります。

裸地→荒地→草原→低木林→高木林

の順番になります。

高木林では、陽樹林→混交林→陰樹林の順に遷移するモデルが一般的です。

順番に見ていきましょう。

裸地→荒地

土壌がないことが特徴です。

そのため、水分や栄養塩類に乏しい状態です。

乾燥や貧栄養に耐えられる植物である必要があり、地衣類や苔植物だけが生育することができます。

遷移の初期段階で侵入するものを、先駆種(先駆植物、パイオニア植物)といいます。

荒地→草原

生物の遺骸や岩石の風化によって土壌が形成されてくる時期です。

草本(ススキやイタドリなど)が部分的に生えて、だんだんと周囲に広がっていきます。

前年の同化産物を次年度の初期成長に利用できる多年生草本が有利となる土壌です。

草原→低木林

ススキやイタドリなどが定着することで土壌の形成がさらに進んでおり、地表付近の湿度が上昇してきている場面です。

土壌の変化により、これまで侵入することができなかった木本植物が生育できるようになるため、低木林となっていきます。

この時期の初期に現れる樹木を先駆樹種と呼びます。

陽樹林

低木林の場合は、地表に当たる光の量が多いため、強い光があたる環境の場合、光飽和点が高い陽生植物が優勢に生育します。

陽生植物がたくさん生えてくると陽樹林と呼ばれるようになります。

暖温帯では、低木のウツギ、高木になるアカマツなどがよく見られます。

混交林

陽樹が生育してくると、高木層に葉が広がるため、林冠部に葉が多くなって林床に光が届きにくくなります。

こういった場合、林冠が閉じるといいます。

陽樹の幼木は光補償点が高いため、生育しにくくなります。

しかし、陰樹であれば、光補償点が低いため、生育することができます。

陽樹の成木に陰樹が混じってくると混交林と呼ばれるようになります。

陰樹林

混交林の場合、陽樹の幼木がなかなか生えてこないため、陰樹が増えていきます。

やがて、陽樹の成木が枯死すると、陰樹だけの林となっていきます。

この状態を陰樹林といいます。

陰樹の場合は光が少なくても生育可能なため、陰樹林は比較的安定に維持されます。

この状態を極相(クライマックス)といい、この時期の森林を極相林といいます。

遷移の後期に現れる樹種を極相樹種といいます。

湿性遷移

湖沼などから始まる一次遷移を湿性遷移と呼びました。

周囲の土砂が流れ込むことによって、湖沼が浅くなり、栄養塩類が増加して、富栄養化します。

初期にはクロモなどの沈水植物が生育しますが、ヒシなどの浮葉植物が水面を覆うと沈水植物は姿を消します。

その後、植物遺骸の蓄積やさらなる土砂の流入で湿原へと変化します。

陸地化して草原になった後は、乾性遷移と同様の過程をたどります。

二次遷移

土壌がある状態から始まる遷移のことでした。

土壌中にある埋土種子や根などの地下部、切り株からの萌芽などによって遷移が進行します。

一次遷移に比べて速く遷移が進みます。

草本では、一年生植物が生い茂ることが多いと言われています。

森林伐採跡地では、切り株から新しい芽が伸びることもあります。

伐採などによる森林の破壊の後は、二次林が成立しますが、遷移が進行すると陰樹林となります。

ただし、頻繁に伐採が繰り返された場合には、林床に光が届くため、陽樹から構成される雑木林が維持されることもあります。

ギャップ

高木が台風などで倒れたり、寿命で枯れたりすると、林冠が途切れるため、林内に光が入るギャップが出来ます。

極相林のギャップでは、小規模な二次遷移が進行し、樹木の入れ替わりが起きることが有ります。

このような高木の交代過程をギャップ更新といいます。

ギャップの大きさによっても遷移が異なります。

小さなギャップでは、入ってくる光は弱いため、陽樹の芽生えには足りず、林床である程度まで生育していた陰樹の幼木がギャップを埋めるので、陰樹林が維持されます。

ギャップが大きい場合には、強い光が入ることが可能になり、陽樹の種子が芽生えて成長を始めます。

部分的に陽樹林が成立することもあれば、陽樹と陰樹がモザイク状に入り混じった状態になることもあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事は「植生の遷移」と題したものでした。

土壌が形成できていないところから始まる一次遷移やすでに土壌が形成されているところでおきる二次遷移がありました。

最終的には陰樹林に向かっていきますが、伐採などによって陽樹林が維持されることもあるようですね。

どのような条件であれば、植生が変化するのかを一つずつ覚えていきましょう。

ぜひ繰り返しご覧ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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