こんにちは。アラフォーパパです。
前回は、「自然免疫」について、解説しました。
白血球は病原体に感染した部位に遊走(移動)し、すぐに対処を始めてくれます。
しかし、病原体の数が多い場合には対処しきれないため、炎症によって血管を拡張して、白血球の遊走を助けて、対応する白血球を増やして対処します。
白血球の食作用によって取り込まれた病原体は細胞内で分解されます。
このようにして白血球が対応するのが自然免疫でした。
しかし、すぐに動けない白血球がいます。
リンパ球です。
これらは食細胞からの情報によってうごけるようになります。
その適応免疫と呼ばれる免疫機構について確認してみましょう。
それではご覧ください。
適応免疫
白血球の中でもリンパ球と呼ばれるB細胞とT細胞によっておきる免疫反応です。
好中球やマクロファージなどが食作用で取り込んだ病原体を分解し、抗原としてB細胞やT細胞に提示する必要があります。
そのため、その時に抗原として提示した異物にしか対応できませんが、対応力は抜群です。
特異的な対応しかできないため、予め様々なリンパ球が準備されていることで弱点をカバーしています。
それでは、免疫反応を順番でみていきましょう。
適応免疫の始まり
リンパ球が働くには抗原が必要です。
抗原とはリンパ球が特異的に病原体を認識するために必要な病原体の中の欠片です。
ペプチドや多糖類のような物質が抗原として提示されることになります。
抗原は食細胞によって作られます。
食細胞に取り込まれた病原体は細胞内で分解され、ペプチドや多糖類といった抗原として食細胞が提示します。
抗原提示をするのは樹状細胞やマクロファージ、B細胞です。
細胞表面に抗原を出すことで、抗原提示を行います。
この抗原提示を受けて特定のリンパ球が活性化したり、増殖したりして適応免疫が始まります。
適応免疫の分類
適応免疫には2種類あり、体液性免疫と細胞性免疫があります。
体液性免疫は、B細胞から分化する形質細胞(抗体産生細胞)が体液の中に放出する抗体が中心になって働く免疫です。
抗体は提示された抗原に特異的に結合するように作られていますので、結合する相手を間違えることなく効果を発揮して、抗原をもつ病原体を排除することに役立ちます。
細胞性免疫は、T細胞から分化したキラーT細胞が細菌やウイルスに感染した細胞の排除に働く免疫機構です。
免疫記憶
抗原提示をうけて活性化したB細胞とT細胞は病原体を排除した後、一部のB細胞とT細胞は体内に残ります。
体内に残る目的は、「記憶」しておくためです。
提示をうけた抗原に対応したB細胞やT細胞を記憶しておくことで、次に同じ病原体が侵入したときに素早く対応することができるのです。
これを記憶細胞が素早く強い応答を起こすといいます。
免疫寛容
生体防御の話のときにでた「自己」と「非自己」の判別の問題がリンパ球でも起きます。
「自己」に反応してしまう細胞が出来上がってしまうと自分の身体を攻撃してしまうことになります。
そこで、免疫細胞が成熟する過程で、「自己」への反応が強い免疫細胞は排除する過程があります。
このようにして、自分の細胞には免疫反応が起きないようにしているのです。
自分の細胞には免疫反応が起きない状態を免疫寛容といいます。
おまけ
免疫寛容の際に、自己に攻撃してしまう免疫細胞を排除する過程があることをお伝えしました。
対象となっているのは、B細胞とT細胞です。
B細胞は骨髄で成熟する間に、自分に反応する抗体を作成するB細胞を除去しています。
T細胞は胸腺で成熟する際に、自分の細胞に攻撃をするT細胞を死滅させます。
このようにして、どうしても生まれてしまう自分を攻撃する細胞を除去する機構をもともと備え付けているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「適応免疫」と題したものでした。
自然免疫からの抗原提示によって働く適応免疫(獲得免疫)は、提示された抗原をもつ病原体にのみ対応できます。
しかし、毎回抗原提示を待つのは非効率なため、記憶細胞に変化したリンパ球によって、同じ病原体の侵入に備えています。
また、たくさんの種類が生産されるため、どうしても自己に攻撃してしまう抗体を作るB細胞や自己を攻撃してしまうT細胞が生産されてしまいます。
これらを排除する機構がしっかりと備わっているため、ほとんどの場合、自己への影響を避けられています。
これらは体を守るのにとても重要な機構ですので、しっかりとチェックしましょう。
ぜひ繰り返しご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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