こんにちは。アラフォーパパです。
前回は、「形質転換」について解説しました。
形質転換の発見とそれを引き起こす因子が解明されるためには、二人の科学者の力が必要でしたね。
一人前はグリフィスさんです。
形質転換がおきることを発見しました。
二人前はエイブリーさんです。
形質転換を引き起こす因子がDNAであることを解明しました。
この二人の行った実験の内容とその意義についてはしっかりと覚える必要がありそうです。
さて、今回は、バクテリオファージの遺伝子について考えてみたいと思います。
細菌に感染するウイルスのことです。
かなり小さいですが、遺伝情報を持っていますので、その点についても深掘りしてみましょう。
それではご覧ください。
プロを指名出来るオンライン家庭教師バクテリオファージとは
バクテリオファージとは、細菌に感染して、細菌の細胞中で増殖するウイルスのことです。
感染は、宿主細胞表面上の特異的な受容体を認識して、吸着することから始まります。
吸着したファージは宿主細胞表層でいろいろとやり取りをして、DNAを宿主菌体内に送り込みます。
バクテリオファージには、大きく2種類あり、それぞれ溶菌性ファージ、溶原性ファージと呼ばれます。
どちらのファージであっても、宿主細胞内部で送り込んだDNAをもとにファージの構成成分が合成されて、娘ファージ(なぜ娘なのかは不明)が宿主細胞を溶かして外に出てきます。
このようにしてバクテリオファージは増殖していきます。
T2ファージ
大腸菌に感染するT2ファージは、バクテリオファージの一種です。
このT2ファージは生物基礎で登場しますので、代表例として解説していきたいと思います。
上述した通り、T2ファージは大腸菌に感染して増殖するウイルスの1っです。
タンパク質でできた殻とその中に保存されているDNAで構成されています。
通常のバクテリオファージと同様に、大腸菌に吸着したのちに遺伝物質のみを大腸菌内に注入して、子ファージを作ります。
ハーシーとチェイスの実験
ハーシーとチェイスは、T2ファージと大腸菌を用いて、遺伝物質がDNAであることを証明しました。
その際に、T2ファージを大腸菌に感染させて遠心分離を行いましたが、遠心分離では、大腸菌は沈殿中に含まれ分離できるために利用されています。
さて、そもそもこの実験が必要だった理由があります。
実はハーシーやチェイスの時代は、タンパク質が遺伝情報の担い手であると考えられていたのです。
DNAの存在自体は知られていましたが、それがなんの役割を持っているかについてはわかっていなかったのです。
タンパク質とDNAからなり、脂質などの他の物質を持っていないバクテリオファージが実験に最適だったということです。
それでは、どのような実験だったのかを見ていきましょう。
初めに、放射性物質を利用したことをしっておいてください。
大腸菌とバクテリオファージを利用することから、DNAは両方ともにあり、分別することが通常では出来ません。
しかし、バクテリオファージを放射性物質が存在する培地で増殖させることで、DNA内に放射性物質を含むバクテリオファージを作成することができるため、放射線を測定することで判別することが可能になります。
今回はDNAとタンパク質ですので、それぞれに特異的に存在する元素を利用していました。
DNAではリン、タンパク質では硫黄が特異的ですので、それぞれ32P(放射能を持つリン)と35S(放射能を持つ硫黄)を利用します。
放射能を持つリンでラベルしたDNAをもつバクテリオファージを大腸菌に感染させ、DNAを大腸菌内に挿入させた後に、遠心分離をすると、大腸菌に吸着していたバクテリオファージの殻(タンパク質)がはがれます。
その後、放射線測定を行うと大腸菌が含まれる分画(沈殿)からのみ放射線が検出されます。
また、放射能をもつ硫黄でラベルした殻をもつバクテリオファージに同様の操作をすると、今度は上澄みから放射線が検出されます。
加えて、沈殿中の大腸菌から子ファージが多数検出されました。
これらのことから、DNAが大腸菌内に挿入され、タンパク質は挿入されておらず、挿入されたDNAを元にして子ファージが作られたことがわかりました。
よって、遺伝物質はDNAであると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「バクテリオファージ」に関するものでした。
バクテリオファージとは、細菌に感染するウイルスのことでしたね。
代表的なT2ファージを覚えておくと良いでしょう。
また、T2ファージを用いた実験を行ったハーシーとチェイスを覚えましょう。
さらにハーシーとチェイスがおこなった実験を理解することが大事です。
なぜ遺伝物質がDNAと特定できたのかについて、説明できるようになると良いですね。
ぜひ繰り返しご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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