(1-15)ATP(高校生物基礎の総復習講座)

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こんにちは。アラフォーパパです。

前回は、「代謝」について解説しました。

代謝は細胞内での物質の合成や分解をまとめて表していて、それにともなって生命に必要なエネルギーの出し入れを行っているものでした。

同化や異化といった普段は使わない言葉がでてきましたね。

代表的な同化や異化の例をしっかりと理解することが重要です。

さて、同化や異化を行うときには、エネルギーの出し入れがありました。

細胞内では、そのエネルギーをATPという形で移動しています。

ATPが何なのかについて、紐解いていきましょう。

それではご覧ください。

ATPとは

ATPとは、アデノシン三リン酸の英語表記であるAdenosine TriPhosphateの略称です。

Triは3つを意味しており、Phosphate(リン酸)が3つ分子中に存在することを意味しています。

ATPの簡略図。簡略化のため、窒素、酸素、炭素、水素などの記載は省略している。赤のラインが高エネルギーリン酸結合とされている。

ATPの役割は、細胞内での代謝によるエネルギーの受け渡しの際に、エネルギーを一時的に貯蔵することです。

ADP(adenosine diphoshate:アデノシン二リン酸)がATPへと合成されること(同化)によって、エネルギーが取り込まれます。

ATPを利用して体の各部位を働かせる際には、ATPからADPとリン酸に分解(加水分解)される過程(異化)でエネルギーを放出して、体の各部位に供給します。

ATPの異化

このように、エネルギーの受け渡しに利用されることから、ATPは生体内でのエネルギーの通貨と呼ばれることもあります。

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ATPの合成

ATPの合成は、ADPにリン酸を結合する酵素が行っています。

その酵素をATP合成酵素と呼びます。

ATP合成酵素はミトコンドリアの内膜・葉緑体のチラコイド膜・バクテリアの原形質膜などの生体膜に存在しています。

>>ATP合成酵素の詳しい話

詳しい話は、生物基礎ではやりませんので、簡単に説明します。

食事によって、グルコースの元が体内に入ったあとに異化され、水素イオン濃度の差を膜の内側と外側で作ることで電位差を作成し、その電位差を利用してADPからATPを作っています。

この時、異化によって作られたエネルギーは全てがATPに変換されるわけではありません。

熱エネルギーなどにも変換されるので、注意してください。

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ATPの衛生検査への応用

ATPは、あらゆる生物に含まれるため、菌などの微生物から、野菜、魚、肉などの食べ物、また人間や動物の汗、唾液などの体液にも含まれています。

そのため、ATPがあればそこには生物由来の有機物が存在しているという証拠となります。

この特徴を利用して、細菌や食品残渣がないかどうかを確認する検査に応用されています。

>>微生物検査とATPふき取り検査の違い

ATPふき取り検査の原理は、「検査部位に残っているATP」と「ホタルが光るときに起こる反応の中心となっている酵素(ルシフェラーゼ)」を反応させることで、ATPからADPへの異化を起こして、発光させ、その光を検出するというものです。

ホタルの体内で起きている生体反応を検査に応用しているということになります。

ちなみに、ウイルスについては、ATPを持っていないことから、ATP拭き取り検査で検出することはできませんので、ご注意ください。

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言葉の注意

ATPはアデノシン三リン酸と呼ばれますが、ATPの図では、アデニンとリボースとリン酸しか書いてありませんでした。

これは、アデニンとリボースが結合したものをアデノシンと呼ぶことが原因です。

そして、アデノシンに3つリン酸が結合していれば、アデノシン三リン酸となります。

アデノシンはRNAのときにも出てきます。

アデノシン一リン酸が使用されているためです。

DNAの場合は、リボースがデオキシリボースになっているために、デオキシアデノシンが登場します。

デオキシアデノシンにリン酸が1つ結合すれば、デオキシアデノシン一リン酸となります。

後にヌクレオチドという言葉で出てきますが、これは塩基(アデニンなど)と糖(リボースやデオキシリボース)とリン酸が結合したものということを意味しています。

つまり、アデノシン一リン酸やデオキシアデノシン一リン酸などがヌクレオチドというグループに含まれていることになります。

さらに、ヌクレオシドという言葉もあり、塩基(アデニンなど)と糖(リボースやデオキシリボース)が結合したものを指しています。

そのため、アデノシンなどがヌクレオシドというグループに含まれることになります。

まずはヌクレオチドだけ覚えれば大丈夫だと思います。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事は「ATP」に関するものでした。

ATPの役割は、細胞内での代謝によるエネルギーの受け渡しの際に、エネルギーを一時的に貯蔵することでした。

そして、そのエネルギーを異化によって受け渡します。

ATPの合成には、ATP合成酵素が活躍していました。

ミトコンドリアの内膜や葉緑体のチラコイド膜にATP合成酵素は存在していることを再確認しましょう。

さらにホタルの体内でおきている生体反応を利用してATPを検出することで、衛生検査に応用されていることも知っておくと良いでしょう。

ぜひ覚えてみてください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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