こんにちは。アラフォーパパです。
前回の記事では、「酸化と還元」と題して解説をいたしました。
酸素の授受による酸化や還元だけでなく、水素の授受や電子の授受による定義もありましたね。
酸化数という指標を使って判断することになるため、対象の酸化数を間違いなく計算することが重要です。
今回は、酸化剤と還元剤について解説します。
それぞれがどのような特徴を持つのか、覚える必要があります。
意味を反対に覚えてしまうと大変なことになるので注意してください。
それではご覧ください。
酸化剤
酸化剤と呼ばれるある物質があった場合、その物質は反応相手の物質を酸化させます。
その際に酸化剤自体は還元されます。
「相手を酸化し、自分が還元されるものが酸化剤」です。
有名な酸化剤を記載しておきたいと思います。
・過マンガン酸カリウム:KMnO4
・二クロム酸カリウム:K2Cr2O7
・過酸化水素:H2O2
・オゾン:O3
・熱濃硫酸:H2SO4
・希硝酸:HNO3
・濃硝酸:HNO3
注意点もいくつかあります。
1つ目はH2O2ですが、酸化剤としても還元剤としても働くことができるため、還元剤のパートでも出てきます。
2つ目は硫酸酸性の条件で、過マンガン酸カリウムや二クロム酸カリウム、過酸化水素を酸化剤として使用するということです。
酸化剤が十分に反応するには、溶液の液性が十分に酸性(溶液中に水素イオンがたっぷりある状態)でないといけません。
そこで強酸である希硫酸が用いられます。
ポイントなのは、塩酸や硝酸ではいけないということです。
塩酸や硝酸でも溶液は十分に酸性になりますが、塩酸の場合は含まれている塩化物イオンが酸化剤と反応して酸化されてしまうため、酸化したい物質を酸化することができにくくなってしまいます。
硝酸の場合は、硝酸自体が酸化剤であるため、硝酸も酸化したい物質と反応してしまいます。
今後出てきますが、酸化還元滴定という濃度不明の物質の濃度を酸化還元反応によって突き止める方法があります。
その際に、塩化物イオンが酸化剤と反応してしまったり、硝酸によって酸化還元反応が起きてしまうと正確に濃度を測ることができなくなってしまうため、塩酸や硝酸は溶液を十分に酸性にする用途では使用されません。
還元剤
還元剤と呼ばれるある物質があった場合、その物質は反応相手の物質を還元させます。
その際に還元剤自体は酸化されます。
「相手を還元し、自分が酸化されるものが還元剤」です。
有名な還元剤を記載しておきたいと思います。
・二酸化硫黄:SO2
・硫化水素:H2S
・シュウ酸:(COOH)2
・ヨウ化カリウム:KI
・硫酸鉄(Ⅱ):FeSO4
・過酸化水素:H2O2
半反応式
酸化剤が電子を受け取る反応や還元剤が電子を渡す反応をe–を用いて書いた反応式のことを半反応式といいます。
酸化剤で有名な過マンガン酸カリウムKMnO4の半反応式をみてみましょう。
MnO4–+8H++5e– → Mn2++4H2O
このように、自身が電子を受け取る(還元される)ことがわかります。
有名な酸化剤や還元剤の半反応式をすべて覚えてしまえるのであれば問題はないのですが、なかなか大変です。
そこで、覚えられなさそうな方は、一部を覚えておいて、半反応式を作り上げる方法で対応するしかありません。
過マンガン酸カリウムKMnO4の半反応式を作り上げてみましょう。
覚えておくのは、MnO4– → Mn2+の部分です。
式の両辺を調節していきますので、ここからは「なんで?」の連続になると思いますが、半反応式の作り方という特殊な話なのだなと思っていただけると幸いです。
まずは、両辺の酸素Oの数をあわせますが、水溶液中の話なので、水分子を式に追加します。
MnO4– → Mn2++4H2O
次に、水素元素が左辺に足らないので、H+を追加します。
MnO4–+8H+ → Mn2++4H2O
電荷がズレていますので、左右の電荷を合わせるためにe–を追加します。
MnO4–+8H++5e– → Mn2++4H2O
このようにして、半反応式が書かれます。
それでは、酸化剤・還元剤の反応式の例を見てみましょう。
酸化剤のほうでは、赤字の分子やイオンを、還元剤のほうでは、青字の分子やイオンを覚えておくことで、半反応式を組み立てることができるので、何度も繰り返して確認してください。
例題
硫酸で酸性にした過酸化水素水にヨウ化カリウム水溶液を少しずつ加えると、溶液が褐色になるとき、起きている反応を酸化剤と還元剤をそれぞれ半反応式であらわせ。
この問題では、硫酸酸性にした過酸化水素水にヨウ化カリウム水溶液を加えている。
このことから過酸化水素水は酸化剤であり、ヨウ化カリウムが還元剤であることがわかる。
酸化剤としての過酸化水素水は、H2O2 → H2O という基本構造となる。
両辺の酸素の数を合わせると、H2O2 → 2H2O となる。
両辺の水素の数を合わせると、H2O2 + 2H+ → 2H2O となる。
最後に両辺の電子の数を合わせると、H2O2 + 2H+ + 2e– → 2H2O となる。
次に還元剤であるヨウ化カリウムは、2I– → I2 という基本構造となる。
両辺のヨウ素の数はあっているので、電子の数を合わせると、2I– → I2 + 2e– となる。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「酸化剤と還元剤」と題したものでした。
酸化剤や還元剤が、反応する相手を還元するのか酸化するのかをしっかり覚えましょう。
酸化剤は相手を酸化し、自分は還元されます。
還元剤は反対です。
また、半反応式はとても重要です。
書けるようになる必要があるので手順をしっかりと確認してください。
ぜひ繰り返しご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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