(3-10)バランス(高校生物基礎の総復習講座)

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こんにちは。アラフォーパパです。

前回は、「物質循環」について、解説しました。

炭素や窒素の同定について学びました。

それぞれの元素で同定のされ方が異なるので、しっかりと覚えましょう。

今回は、生態系のバランスについて、崩壊させる要因や維持に重要な要因を細かく見ていきたいと思います。

それではご覧ください。

生態系バランスの維持

自然の生態系は、小さな出来事(かく乱)によって絶えず破壊を受けています。

しかし、時間はかかりますが元の状態へと復元され、均衡が保たれます。

この性質を生態系の復元力(レジリエンス)と呼んでいます。

最近では、ヒトの活動によっても破壊がおき、その均衡が崩れてしまっています。

つまり、破壊が復元される前に次の破壊が起きることで、復元できなくなってしまっており、復元力を超えてしまっているのです。

それでは、さまざまなかく乱について詳しくみていきましょう。

自然のかく乱

自然のかく乱の代表例をいくつか挙げてみると、火山噴火や台風、雪崩などの自然災害が当てはまります。

たとえば、雪崩によって極相林が部分的に破壊された場合があります。

雪崩によって木が薙ぎ倒されてしまうことは容易に想像できます。

しかし、木が無くなっていても、土壌はあり、二次遷移が進むことが想定されます。

早い段階で低木林となり、次第に極相林へと戻って行きます。

これは、雪崩以外に外力が加わってない場合で、復元力を超えていないという想定での話です。

人為的かく乱

ヒトが原因のかく乱にはさまざまな種類があります。

例えば、河川への排水や外来生物の移入、化石燃料の大量消費、森林破壊、有害物質の排出などです。

人為的かく乱は重要なテーマのため、それぞれ細かくみていましょう。

河川への有機物の排出

有機物を含む汚水が河川に流入する場合があります。

流入した有機物は、通常であれば細菌によって分解され減少します。

この時、有機物はNH4+やNO3、PO43-などに変えられます。

これは自然浄化と呼ばれ、生態系の持つ復元力の一つです。

この自然浄化の時に、河川を流れる水に含まれる酸素(溶存酸素)が使われます。

分解によって栄養を得た細菌が増殖するため、それを捕食する原生動物も増殖します。

また、藻類も増殖するため、光合成により酸素を作り出し、溶存酸素が増加します。

その後、有機物が減ってくると、増加していた生物の減少に繋がり、元の状態に戻ります。

ただし、復元力の許容範囲を超えない場合となります。

富栄養化により、溶存酸素が減りすぎた場合や光が水中に届かない事態が起きた場合は、許容範囲を超える可能性があります。

例えば、栄養塩類が多くなり、植物プランクトンが異常に増殖した場合は、水の華(アオコ)や赤潮が発生します。

アオコが発生して光が届かなくなると、水生植物は生育できなくなるため、栄養塩類の吸収量が落ち、さらに富栄養化が進みます。

赤潮の場合は、水中の酸素が欠乏したり、魚のエラにプランクトンが詰まったりして、魚などが大量死することに繋がります。

富栄養化を起こさないことが重要です。

また、研究レベルでは、殺藻細菌と呼ばれる細菌を利用することで予防ができないかという試みもあるようです。

>>殺藻細菌に関する北海道大学の研究成果

※BODとは、生物化学的酸素要求量のことです。水生微生物が水中の有機汚濁物質を5日間で分解するのに必要な酸素量を測定して指標とします。

※CODとは、化学的酸素要求量のことです。過マンガン酸カリウムなどの酸化剤で、水中の有機物などの汚染源となる物質を酸化する時に消費される酸素量を測定して指標とします。

生態系への化学物質の排出

ヒトが利用していた化学物質が生物中に高濃度で蓄積されることがあります。

これは、生物濃縮とよばれ、殺虫として利用されたDDTや有機水銀などで、たびたび話題になりました。

これらは自然が分解できる許容量を超えてしまっているため、復元力だけでは改善できませんでした。

特に、食物連鎖を通じて高次の生物に蓄積される傾向があります。

生物濃縮される物質には特徴があり、体内に取り込まれやすい脂溶性であったり、生物による代謝機構がないものがほとんどです。

生物濃縮自体は自然界にむかしからあり、フグの毒が有名です。

フグはテトロドトキシンという毒を生物濃縮によって体内に持っていますが、もともとは餌となる藻類が体内で作っているものになります。

そのため、生物濃縮自体が悪いというよりは、自然界で分解されないものを放出してしまっている方に問題があるのだと思います。

外来生物

ブラックバスのようなもともと日本にいなかったが放流等によりその場に定着してしまった生物のことをさしています。

もともといる生物は在来生物です。

いままで在来生物で形成されていた生態系に外来生物が入ってきた場合、生態系が大きな影響を受ける場合があります。

捕食による在来生物の激減(場合によっては絶滅危惧)や雑種の形成による遺伝子汚染です。

そのため、影響が大きいと判断された外来生物は、外来生物法によって特定外来生物に指定されて、飼育や運搬が禁止されています。

生物の絶滅については、絶滅の恐れがある野生生物を分類したレッドリストをみると良いでしょう。

絶滅危惧種について知ることができます。

また、それらをまとめたレッドデータブックというものもあります。

温暖化

地球温暖化が問題提起されてからずいぶんと時間が経っていますが、解決のメドは立っていません。

化石燃料の大量消費や大規模な森林破壊などにより、待機中の二酸化炭素濃度が増加していることが原因とされています。

二酸化炭素は地表からの熱エネルギーを吸収したり、再反射したりするため、大気の温度が増加してしまうと言われています。

これを温室効果といい、温室効果を持つ気体である温室効果ガスには、二酸化炭素以外にフロンやメタンなどが挙げられています。

生物の過剰な捕獲

生物の乱獲は、生態系に大きな影響を与えます。

対象の生物がキーストーン種であった場合は影響範囲が非常に大きくなります。

キーストーン種とは、生態系において個体数としては少なくても、生態系のバランスの維持に重要なはたらきを示す種のことです。

岩礁地帯では、ヒトデがキーストーン種として存在して、イガイの過度な増殖を妨げています。

また、アラスカ沿岸ではラッコがキーストーン種として存在しており、ウニの過度な増殖が妨げられます。

ラッコがヒトによって乱獲されたり、より上位の消費者であるシャチに過度に捕食されたりした場合は、復元力の限界を超えることがあります。

その場合は、生態系のバランスが崩れ、ウニが大量発生し、ウニの食糧であるケルプが食い尽くされ、多くの生物が生活できず姿を消します。

このように、キーストーン種への影響は多大であるため、特に注意する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事は「バランス」と題したものでした。

生態系には復元力がありますが、その許容範囲を超えた場合には生態系が回復不可能な状態になることもあります。

生態系にダメージを与えるかく乱によってどのような影響を受けるのかそれぞれ確認しておく必要があります。

ぜひ繰り返しご覧ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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