(3-8)物質収支(高校生物基礎の総復習講座)

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こんにちは。アラフォーパパです。

前回は、「生態系」について、解説しました。

生産者、消費者、分解者という生物的環境について学びました。

また、生産者と消費者からなる食物連鎖がありました。

食物連鎖の栄養段階ごとの生産者や消費者によるピラミッドをしっかりと覚えましょう。

今回は、生産者が生産した有機物を消費者が利用する際の物質収支について考えてみたいと思います。

それではご覧ください。

生態系における物質収支

物質の収支は、生産者と消費者のそれぞれの面から考えていく必要があります。

いろいろな言葉が出てきますので、意味をしっかりと覚えていきましょう。

生産者

まずは生産者について見ていきましょう。

総生産量と純生産量を理解できれば大丈夫です。

ただし、この2つの言葉の意味をしっかりと理解しておくことはとても重要です。

簡単にまとめると、

総生産量は、一定期間内に生産者が生産した有機物の総量のことです。

純生産量は、呼吸によって消費された有機物を減らした状態なので、総生産量-呼吸量ということになります。

純生産量 = 総生産量 - 呼吸量

図で確認してみましょう。

純生産量

純生産量を別の書き方でかくと、成長量と被食量と枯死量を足したものになります。

純生産量 = 成長量 + 被食量 + 枯死量

なんとなくで考えると純生産量=成長量ではないか?と想像してしまうと思いますが、違います。

この点を明確にしておくべきでしょう。

言葉の定義の問題ないので、昔の偉い人が命名した通りに覚える必要があります。

同じ定義で覚えることで、他の方とも簡単に話をすることができるようになります。

少し言い方を変えてみると、総生産量は一定期間内の光合成量となり、純生産量は光合成量-呼吸量なので、見かけの光合成量になります。

消費者

つぎに消費者です。

生産量と同化量という言葉がでてきます。

初めに、消費者が得る物質(=摂食量)は、生産者の物質量のうちの被食量であるということを確認してください。

摂食量

この摂食量の内訳が大事になってきます。

それでは、摂食量のところにフォーカスして図を作ってみたいと思います。

生産者のときと言葉が変わっている部分がありますが、意味合いが同じ部分については同じ色を使用しています。

消費者はエネルギーを作り出すわけではありませんが、摂食によって体に物質を取り込みますので、成長量から呼吸量までを同化量と呼びます。

また、呼吸を行うことで最終的には外に物質を出してしまいますので、同化量から呼吸量を引いた部分を生産量と呼ばせています。

同化量で大事な式は下の2つです。

同化量 = 摂食量 - 不消化排出量

同化量 = 成長量 + 被食量 + 死滅量 + 呼吸量

生産量では、次の2つを確認しましょう。

生産量 = 同化量 - 呼吸量

生産量 = 成長量 + 被食量 + 死滅量

これらの式を丸暗記することもできるとは思いますが、できれば意味合いを考えて書き出せるようにしていくとよいでしょう。

次はそれぞれの言葉の意味を一気に紹介しておきたいと思います。

用語の確認

物質収支に必要な用語について、確認してみましょう。

①現存量:各栄養段階の生物体を構成する有機物の量

②成長量:最初の現存量に付加される有機物の量

③被食量:上位の栄養段階の生物に食べられる有機物の量(上位の栄養段階の生物の摂食量や捕食量と同じ量となる)

④枯死量および死滅量:枯れたり死んだりして分解者に受け渡される有機物の量(全量が分解者の呼吸量となる)

⑤呼吸量:呼吸に伴い、無機物へと分解される有機物の量(生態系内には有機物として残らない)

⑥不消化排出量:摂食量のうち、消化・吸収されないで体外に排出される有機物の量(分解者の呼吸量となる)

食物連鎖の種類

食物連鎖には大きく2つの分類があります。

開始点となるタイミングで生きているものを食べるのか、遺骸から始まるのかで異なるのです。

>>中学生向けの食物連鎖について

それぞれみていきましょう。

生食連鎖

生きている生産者を食べることから始まる食物連鎖です。

水界生態系の特徴として知られています。

生産者は植物プランクトンです。

植物プランクトンを一次消費者が丸ごと食べることから食物連鎖が開始します。

植物プランクトンは現存量が小さく、非同化部の蓄積が殆ど無いため、呼吸量がかなり小さくなります。

多くの光合成ができず、同化部が多くないため、総生産量が小さくなります。

しかし、総生産量のうちの純生産量の割合は大きくなります。

これは呼吸量が小さいためです。

現存量と比べたときも、純生産量は大きいと表現できます。

腐食連鎖

落葉・落枝や生物の遺骸から始まる食物連鎖のことです。

陸上生態系(森林生態系など)で特徴的に認められます。

主な生産者は樹木です。

樹木の落葉をトビムシやササラダニなどの消費者が摂取することで食物連鎖が進みます。

樹木は現存量が大きく、非同化器官(幹や根)が体調に蓄積しているので、呼吸量がかなり大きくなるのが特徴です。

葉が多く、光合成を十分に行うことができるため、総生産量が多くなります。

しかし、呼吸量が多いために、総生産量のうち純生産量が占める割合は小さくなります。

また、現存量も大きいため、現存量あたりの純生産量はかなり小さくなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事は「物質収支」と題したものでした。

生産者の総生産量や純生産量についてと、消費者の生産量や同化量について学ぶことが第一です。

その上で、生食連鎖や腐食連鎖との関連性をチェックして、それぞれの量の違いにも注目するとよいでしょう。

ぜひ繰り返しご覧ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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