こんにちは。アラフォーパパです。
前回は、「酵素の分布」について解説しました。
デンプンやタンパク質、脂肪の分解に関係する酵素は、消化管の中に分布していて、消化吸収の助けになっていることがわかりました。
特に膵臓からはさまざまな酵素が分泌され、今回挙げた栄養素の全ての分解に関わっているためとても重要でした。
体内での酵素の反応は、多段階にわたります。
栄養素の分解でさえも2~3段階の反応を必要としているのです。
体内で必要な物質を作成するためには多くの段階を必要とするでしょう。
今回の記事では、体内で起きている酵素の反応について、紐解いてみましょう。
それではご覧ください。
生体内での酵素の反応
生体内での酵素反応を考えるために、クエン酸回路を代表として挙げてみたいと思います。
クエン酸回路とは、ミトコンドリアのマトリックスで行われる9段階からなる環状の代謝経路のことです。
例えば、この回路の名称の由来となっているクエン酸をスタートとしてみると、アコニターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼといった酵素が存在していて、次々に違う物質に変化していることが分かると思います。
クエン酸回路では、アコニダーゼの基質として、クエン酸とcis-アコニット酸があるため、9段階8酵素で化学反応が行われていることがわかるでしょうか。
酵素には触媒できる化学反応が決まっていますので、基本的には1段階1酵素で化学反応が起きると考えて良いと思います。
稀に、基質が似ていると同じ酵素で反応できることがあるため、クエン酸回路のようになることもあります。
酵素反応の特徴
酵素反応を考えるときに必要な言葉の整理をしていきたいと思います。
はじめに、酵素によって作用を受ける物質を基質と言います。
酵素反応は、1度酵素と基質が結合した酵素-基質複合体を形成して、その後化学反応をへて生成物が誕生します。
酵素と基質が反応してできたものが生成物と呼ばれると覚えておくと良いでしょう。
次に、基質特異性という言葉について解説します。
酵素はタンパク質で出来ていて、立体構造になっています。
その立体構造の一部分(活性部位)が酵素によって異なる形状をしているのですが、その形状に当てはまって酵素と結合することができるものだけが、酵素の作用を受けることができます。
この酵素それぞれにおいて結合できる基質が限られるという性質のことを基質特異性といいます。
加えて、酵素反応には、最適温度と最適なpHが存在しています。
最適な温度では、酵素の反応速度が最も早くなります。
pHでも同様に最適なpHの場合には反応速度が最も早いです。
ヒトにおいては、最適な温度は35~40℃の場合が多いと言われています。
温度が高くなりすぎると、タンパク質の構造が変化してしまうことから、酵素としての機能が保てなくなってしまいます。
pHの場合は、ペプシン、唾液アミラーゼ、トリプシンを例にあげるとわかりやすいでしょう。
ペプシンは胃にいる酵素ですので、pH2の環境でもっとも働けるようになっています。
唾液アミラーゼは口腔内にいますので、pH7が最適なpHであり、トリプシンは小腸にいるので、pH8くらいが最適なpHとなっています。
1度使われた酵素は?
酵素は1度反応を触媒するとどうなるのでしょうか。
実は、酵素には反応前後で変わりがありませんので、基本的には再利用することができます。
稀にですが、酵素と基質が合体した、酵素-基質複合体のままくっついて動けなくなってしまう場合があります。
その際たる例が、医薬品です。
酵素と医薬品(基質)が結合した際に離れなくなると、酵素反応が止まり、酵素を再利用することができなくなり、症状を引き起こしていた反応が止まったり、最終生成物の合成を妨げたりすることができます。
医薬品の話は余談ですので、そうなんだなぁくらいで思っていてもらえると良いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「酵素の反応」に関するものでした。
酵素に結合する物質を基質と呼びました。
酵素と基質が結合すると、酵素-基質複合体が形成されて、その後生成物が作られました。
この1段階に対して、1酵素が対応していました。
生体内では、いくつもの代謝段階があり、それぞれの段階に酵素が存在して代謝が進んでいくことがわかったかと思います。
ぜひ覚えてみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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