こんにちは。アラフォーパパです。
前回は、「細胞の大きさ」について解説しました。
同じように細胞と表現されても、大きさがかなり違うことがわかったのではないかと思います。
また、同じ生物、たとえばヒト、の細胞でも、場所や役割によって大きさが異なっていたことも興味深かったですね。
今回は、そんな細胞のなかでも、極めて小さい細胞を見るときに使用される電子顕微鏡について解説していきたいと思います。
光学顕微鏡は、学校の授業でも扱うと思いますので、ご存じの方も多いかと思いますが、電子顕微鏡は簡単には見たり触ったりすることは出来ないと思います。
画像や動画も含めて、書いていきたいと思いますので、ぜひご覧ください。
電子顕微鏡とは
電子顕微鏡とは、電子線を用いて試料の拡大像を観察する装置のことです。
最初の電子顕微鏡は1932 年にドイツで開発されました。
開発者はエルンスト・ルスカで、透過型電子顕微鏡(TEM)の開発でした。
また、走査透過型電子顕微鏡(STEM)も1930年代後半にマンフレート・アルデンヌによって開発されました。
さらに、1940年代前半に現在の走査型電子顕微鏡(SEM)の原型がウラジミール・ツヴォルキンによって開発されました。
>>顕微鏡の歴史
電子顕微鏡の開発の背景には、電子線の発見があり、可視光よりも波長の短い電子線を利用することで、より分解能の高い顕微鏡を作ることが可能になりました。
原理
顕微鏡では、光の波長によって、見えるものが決まります。
光の波長よりも大きいものは、区別してみることが可能なのです。
可視光線の波長は、380nmから770nmです。
光学顕微鏡の分解能が200nmであるのは、可視光線の波長程度のものまでしか見えないからということになります。
電子顕微鏡では、電子線を使用します。
電子線とは、電子銃というピストルのようなもので電子を加速して作られるもので、真空中で細いフィラメントの加熱又は、強い電界をかけることで発生する電子の束です。
電子線を加速させる加速電圧が300kV の時の電子線の波長は0.00197nm となります。
今のところ電子顕微鏡の分解能は0.2nmと生物基礎では習うと思いますが、電子線の波長を考えれば間違いなく0.2nmのものを観察することができるだろうと考える事ができると思います。
電子顕微鏡の種類
さきほどでてきた電子顕微鏡をそれぞれどのようなものか確認していきましょう。
>>電子顕微鏡の原理
透過型電子顕微鏡
透過電子顕微鏡は試料に電子線をあてて、それを透過してきた電子を拡大して観察する電子顕微鏡のことです。
試料を透過してきた電子線を利用するため、対象物を出来るだけ薄く切ったり、電子を透過する薄膜に対象物を塗ったりして観測する必要があります。
電子の加速電圧が高くなれば、電子線の波長が短くなるため、分解能が上がっていきます。
走査型電子顕微鏡
走査電子顕微鏡は、真空中で細く絞った電子線で試料表面を走査し、その時試料から出てくる情報(信号)を検出してモニタ-上に試料表面の拡大像を表示する電子顕微鏡です。
走査とは対象を電子線でなぞって、対象物の情報を得ることを指します。
試料の形状だけでなく、X線検出器を装着すれば試料に含まれている元素も調べることができるようになります。
走査透過型電子顕微鏡
透過型電子顕微鏡の1種で、試料表面を走査して、透過してきた電子を拡大して観察する顕微鏡です。
走査型電子顕微鏡を同様に元素を調べることも可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
光学顕微鏡と電子顕微鏡の違いを理解することができたでしょうか。
顕微鏡の分解能には、使用している可視光や電子線の波長が関わっていることを知っておいてください。
電子顕微鏡では、電子線が透過したものを観察する場合と、電子線をあてて試料からでてきた信号をキャッチする場合がありました。
また、走査型電子顕微鏡では、X線検出器をつければ、元素までわかってしまうという優れものです。
電子顕微鏡を使用する機会がある方は少ないと思いますが、ぜひ覚えておいてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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