こんにちは。アラフォーパパです。
前回の記事では、「酸化剤と還元剤」と題して解説をいたしました。
酸化剤や還元剤の特性は覚えましたか?
反応相手を酸化すれば酸化剤、還元すれば還元剤でしたね。
半反応式はとても大事なので書けるようにしなければなりません。
さて、酸化や還元について確認してきましたが、今回は酸化や還元を利用して濃度不明の溶液の濃度を特定しようという試みについてです。
酸化還元滴定といいます。
それではご覧ください。
酸化還元滴定
濃度不明な酸化剤(還元剤)の濃度を知るための方法です。
中和滴定と同様の考え方ですが、酸化還元滴定では、酸化または還元が終了する点を探します。
使用する道具は中和滴定と同じものです。
中和滴定の場合は、H+の物質量とOH-の物質量が同じになることを利用しましたが、酸化還元滴定では、酸化剤が受け取った電子の物質量と還元剤が放出した電子の物質量が等しくなることを利用します。
>>身近なもので実際に酸化還元滴定を行うことができる例が載っている記事
滴定の例
過マンガン酸カリウムを利用した滴定を考えて見ましょう。
濃度不明の還元剤を正確に測りとり、コニカルビーカーに入れます。
そして希硫酸を入れて水素イオンが十分にある状態にします。
過マンガン酸カリウム水溶液をビュレットから滴下していきます。
赤紫色がわずかに残るというのが、過マンガン酸カリウム水溶液の場合の特徴なので、その時点で酸化還元反応が完了したと判断します。
この時の、過マンガン酸カリウム水溶液の滴下量から、受け取った電子の物質量を計算して、還元剤の濃度を求める際に利用します。
電子の物質量の計算
それでは、電子の物質量を求めるために必要な条件を確認してみましょう。
まずは、溶液の濃度ですね。
これがないとどうにもなりません。
次にビュレットから滴下した体積です。
酸化剤または還元剤1 molに対して、電子が何 mol動くのかを知る必要があります。
これは、半反応式が書ければ解決します。
この3点を確認できれば、あとは単位に従って計算を行えば、電子の物質量を求めることが可能です。
それでは、例題を用いて、実際に計算の過程を見てみましょう。
例題
0.050 mol/Lの過マンガン酸カリウム水溶液を酸化還元滴定で使用したところ、40.0 mLの時に赤紫色が消えずにわずかに残った。
このような問題文があったとしましょう。
この時、過マンガン酸カリウムが受け取った電子の物質量はいくつでしょうか。
まずは、過マンガン酸カリウム水溶液の濃度ですが、問題文に0.050 mol/Lと書いてあるので、大丈夫ですね。
次に滴下した量ですが、40 mLと書かれていますので、使えます。
最後は半反応式ですが、今回は過マンガン酸カリウムですので次の通りです。
MnO4– + 8H+ + 5e– → Mn2+ + 4H2O
酸化剤のページで確認しましたね。
ということで、過マンガン酸カリウム1 molに対して、電子は5 molとわかりました。
よって、計算式は次のとおりです。
受け取った電子の物質量は1.0 × 10-2 molとわかりましたね。
滴定の場合は濃度不明の液体は、濃度を文字で置けば良いので、計算自体は可能です。
計算自体も中和滴定とさほど変わりありませんので、繰り返し計算していれば、次第に早くなっていくと思います。
頑張りましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「酸化還元滴定」と題したものでした。
中和滴定と同じ考え方ですが、注目するのは電子の物質量です。
受け取る電子の物質量と放出する電子の物質量の式がたてられれば、難しいことはありません。
あとは、酸化還元反応の終点を見極めるための特徴を覚えられれば、得意分野になるのではないでしょうか。
ぜひ繰り返しご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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