こんにちは。アラフォーパパです。
前回の記事では、「中和反応」と題して解説をいたしました。
塩酸と水酸化ナトリウムの中和反応は以前からご存知だと思います。
しかし、高校では酸と塩基の中和反応によって中性にむかうということ以外にも、塩(えん)が生成するという点が重要です。
塩には正塩や酸性塩などの分類や、塩の液性といった知っておくべき性質がいくつもあります。
これから解説する滴定に気を取られてしまうかと思いますが、塩の性質も重要なので、しっかりと確認してください。
さて、今回の記事は中和滴定です。
中和反応を利用して、濃度のわからない酸(または塩基)の水溶液の濃度を特定することを目的にしています。
それではご覧ください。
中和滴定
中和滴定とは、濃度のわからない酸(または塩基)の濃度を測定するために、濃度のわかっている塩基(または酸)を用いて中和反応を起こし、中和点に達したところで、使用した濃度のわかっている塩基(または酸)の水溶液の体積から、濃度のわからない酸(または塩基)の濃度を特定するための作業のことです。
本来の目的は、わからない濃度の液体の、濃度をはっきりさせよう!ということですね。
ただし、高校でのテストでは、わからない濃度の液体を濃度の分かる状態にしようというのが目的ではなくて、その途中の計算方法や使用する道具について理解できているかを問うことが主なので、なんでこんな問題出すのかなぁという印象になってしまいます。
また、公式のような雰囲気の式がよく書かれていますが、それに当てはめればいいやという考え方で進んでいくと、単位変換とか濃度の種類だとか酸や塩基の価数などで引っ掛けられて撃沈することが多いと思いますので、できれば本質を掴んでいただけるとうれしいです。
道具
滴定で使用する道具について確認しましょう。
使い道も大事ですが、使う時に使用する液で共洗いをするのか、純水で洗った状態のまま使うのかという点が大事です。
これは濃度変化があったら困るものなのか、それとも液に含まれる物質量が変わったら困るのかで判断する必要があります。
それではよく使う道具を見ていきましょう。
①コニカルビーカー
溶液を入れるビーカーとしてよく使用されます。
三角フラスコで代用しても良いと思います。
滴定の際に濃度不明の液体を入れる場合には、純水で洗浄してから使用します。
コニカルビーカーに入れた正確に量を測った濃度不明の液体は、純水によって濃度が変わっても含まれる物質量に変化はありません。
物質量がはっきりすれば、コニカルビーカーに入れる前に正確な液体の量を測っているため、正確な濃度を計算できるため、純水の影響を受けないということになります。
②ホールピペット
一定の体積の溶液を正確にはかりとる道具です。
濃度を変えずに正確に体積を測ることを目的にするので、はかりとる溶液で共洗いをしてから使用します。
使う時に口で吸って、吸い口を手で塞ぐことで液が減らないようのします。
この時に勢いよく吸うと口に入って来てしまうので注意が必要です。
③メスフラスコ
溶液を調整・希釈する用途に使用します。
滴定ようの濃度のわかっている溶液を作る時に使用します。
調整や希釈は純水で行うため、使用前に純水で洗浄して濡れたまま使います。
④ビュレット
溶液を滴下して、滴下した分の体積を測ることができます。
滴定の際は、メスフラスコを用いて調整した既知の濃度の溶液を入れます。
ビュレットを純水で洗ったまま使用するとビュレット内で溶液の濃度が下がってしまうため、使用する予定の溶液で数回洗浄(共洗い)してから使用します。
中和滴定の流れとしては、濃度のわからない酸または塩基の溶液をホールピペットを用いて正確に計りとり、コニカルビーカーに入れます。
中和反応を起こすことのできる塩基または酸の溶液をメスフラスコを用いて濃度がはっきりわかる溶液を調整します。
濃度がわかっている溶液で共洗いしたビュレットに濃度がわかっている溶液を入れて、ビュレットからコニカルビーカー内に溶液を滴下していき、中和点を探ります。
これが中和滴定のときの道具の使い方です。
滴定曲線
中和滴定では、縦軸をpH、横軸を既知の濃度の溶液の滴下量とした滴定曲線が用いられます。
しかし、ただ溶液を落として様子を見ているだけでは、中和点はわかりませんし、滴定曲線もかけません。
そこで、中和点を把握するために必要なのが、指示薬です。
滴定曲線自体は、酸の溶液と塩基の溶液の組み合わせでだいたいの形がわかっていますので、それに合わせて指示薬を選ぶ必要があります。
①弱酸と強塩基の滴定
弱酸を強塩基で滴定した場合、中和点は塩基性となります。
そのため、塩基性側で色が変わる指示薬を使用する必要があります。
フェノールフタレインはpH8~10くらいのところで変色するため有用です。
pH8よりも酸性側では無色、pH10よりも塩基性側では赤色を呈します。
②強酸と弱塩基の滴定
強酸を弱塩基で滴定する場合は、中和点が酸性になります。
そのため、酸性側で色が変わる指示薬を使用する必要があります。
メチルオレンジはpH3~5くらいのところで変色するのでよく使用されます。
pH3よりも酸性側では赤色、pH5よりも塩基性側では黄色を呈します。
③強酸と強塩基の滴定
強酸を強塩基で滴定した場合、中和点は中性となります。
中和点付近の急激なpH変化がフェノールフタレイン、メチルオレンジどちらの変色域にも含まれるため、指示薬としてどちらも使用することが可能です。
指示薬のおさらいをしておきましょう。
主に2種類の指示薬が出てきました。
塩基性側で色が変わるフェノールフタレイン、酸性側で色が変わるメチルオレンジです。
色も覚えておいた方が良いでしょう。
中和点付近ではpHの振れ幅が非常に大きくなるため、指示薬を用いることで視覚的に判断することができるのです。
計算問題の準備
中和滴定では重要なポイントは、「酸の持つH+の物質量と塩基のもつOH-の物質量が等しい点を見つける」ということです。
つまり、中和滴定を実際に行った時に出てくる体積や濃度からH+やOH-の物質量を計算することが大事なのです。
いろいろやりましたが、物質量(mol)を求めて欲しいのです。
そのためには単位を見て計算できるようになると良いでしょう。
単位は計算のヒントになっていますので、単位が使いこなせるようになると公式を覚えていなくても計算ができることがよくあります。
それでは、例題を見てみましょう。
例題
濃度のわからない塩酸10 mLがある。0.05 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ、中和までに8.0 mL必要であった。塩酸の濃度は何mol/Lか。
このような問題があった時にどうするのか。
知りたいのはH+やOH–の物質量でしたね。
中和に使用した水酸化ナトリウム水溶液中のOH–の物質量が計算できそうですね。
ここで計算したOH–の物質量は濃度がわからない塩酸10 mL中のH+の物質量と等しいですね。
H+の物質量=0.0004 mol・・・①
中和点に達したときの話ですから、等しくないといけません。
さて、濃度は不明ですが、文字でおけば濃度のわからない塩酸10 mL中のH+の物質量を求める式がもう一つできます。
ここで連立方程式を思い出して見てください。
この計算から、塩酸の濃度が計算できますので、あとは計算を間違えないようにするだけです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「中和滴定のキモは?」と題したものでした。
使用する道具の名前や洗浄の仕方はしっかり覚える必要がありますね。
実際に実験をする時にわからなくならないようにポイントを押さえましょう。
また、テストでは計算させる部分にどうしても偏ってしまいますので、物質量を計算で出せるようにしておきましょう。
「キモ」は物質量の計算でしたね。
ぜひ繰り返しご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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