こんにちは。アラフォーパパです。
前回の記事では、「化学反応式」と題して解説をいたしました。
化学式が書けることや式にすること、式の係数をつけることができるようになる必要があります。
例題を利用していろいろなパターンを練習しましょう。
この先、化学反応式が書けることが前提で話が進む分野がいくつもあると思いますので、覚悟しておいてください。
さて、3章では酸と塩基について学んでいきたいと思います。
定義から始まって、元素周期表との関係などを学んでいきます。
それではご覧ください。
定義
酸と塩基の定義を確認しましょう。
この定義には二人の人物が関わっています。
一人目はアレニウスという方です。
初めて酸と塩基を定義しました。
・酸とは水に溶けて水素イオンH+を生じる物質
・塩基とは水に溶けて水酸化物イオンOH–を生じる物質
この定義によってほとんどの物質は酸なのか塩基なのか判別がつきます。
例えば、塩酸や硫酸、酢酸などはH+を生じるので酸ですし、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどはOH–が生じるので、塩基です。
しかし、アンモニアNH3はどうでしょうか?
OH–を生じることができませんね。
けれども、アンモニア水はアルカリ性を持っていたと思います。
アルカリ性というのは塩基性と考えて差し支えありませんので、アンモニアは塩基であるといえます。
このように、OH–を生じるものが塩基であると定義した場合に、当てはまらないものが出てきてしまいました。
そこで、ブレンステッドとローリーによって、より幅広い物質を酸と塩基に分類できるように定義が、拡張されました。
それが次の定義です。
・酸とは水素イオンH+を与える物質
・塩基とは水素イオンH+を受け取る物質
このように定義を拡張したことによって、水素イオンH+の移動に注目すれば判別できるようになったのです。
定義の例題
それではいくつかの化学反応式を見て、酸または塩基のどちらであるか確認しましょう。
例 CO32- + H2O ⇄ HCO3– + OH–
この化学反応式の解説を先にしておきたいと思います。
水中での反応になり、左辺から右辺とは反応するだけでなく、右辺のものが反応物となって左辺が生成物となる反応も同時におきます。
正確には、水溶液の何処かで右辺→左辺の反応がおき、また同じ水溶液のどこかで左辺→右辺の反応がおきているということです。
そこで、CO32-、H2O、HCO3–、OH–のそれぞれが酸なのか塩基なのかをみていきましょう。
CO32-は、左辺→右辺の反応の際は、H+を受け取ってHCO3–になりますので、塩基と判断できます。
H2Oは、左辺→右辺の反応の際は、H+を与えることになるので、酸と判断できます。
右辺→左辺の反応をみてみましょう。
HCO3–はH+を与えて、OH–をH2Oにするので、酸と判断できます。
OH–はHCO3–からH+を受け取ってH2Oになりますので、塩基と判断できます。
このように、Hの動きに注目することで簡単に判断することができますので、いろいろな問題で練習してみましょう。
電離
電離とは、酸の場合であれば、水中でイオンに分かれて水素イオンH+を放出するプロセスであり、塩基の場合であれば、水中でイオンに分かれて水酸化物イオンOH–を放出するプロセスまたは、水素イオンH+を受け取ってイオン化するプロセスを指します。
酸の化学式(例えばHClやH2SO4など)の中で、電離してH+になることのできるHの数を酸の価数といいます。
HClは1価の酸で、H2SO4は2価の酸と呼びます。
塩基の化学式(NaOHやNH3など)の中で、電離してOH–になることのできるOHの数、または受け取ることのできるH+の数を塩基の価数といいます。
NaOHはOHが1つなので1価の塩基で、NH3はH+を1つ受け取れるので1価の塩基と呼びます。
酸、塩基の強弱
電離をする際に、どの程度電離するのかによって酸や塩基の強弱が決まります。
ここで重要なのは、物質によっては全てが電離するわけではないということです。
強弱はほぼ全てが電離するのか、一部しか電離しないのかで判断できるのです。
中学校で取り扱ったことのある酸や塩基(アルカリ)を思い出してください。
強い酸とか弱いアルカリのような覚え方をしていたと思います。
塩酸は強い酸、硫酸も強い酸、酢酸は弱い酸、水酸化ナトリウム水溶液は強いアルカリ、アンモニア水は弱いアルカリといった具合です。
塩酸や硫酸、水酸化ナトリウム水溶液は強酸、強塩基と呼ばれ、ほとんど全てが電離しています。
酢酸やアンモニア水は弱酸、弱塩基と呼ばれ、ごく一部しか電離していません。
このように強いのか弱いのかが、ほぼ全て電離しているのか一部だけなのかと結びついているので、覚えやすいと思います。
ただし、中学校では紹介されない物質も高校では出てくるため、次の表を参考にすると良いでしょう。
加えて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物は強塩基と覚えておくと良いでしょう。
電離度
どの程度電離しているかで、酸や塩基の強弱を判断することが可能と説明しましたが、どの程度電離しているのかを知るにはどうしたら良いのでしょうか。
知らない物質が出てきたら困ってしまいますね。
そこで、どの程度電離しているかを数字で表した指標があります。
それが電離度です。
電離度は{電離した酸(または塩基)の物質量[mol](またはモル濃度[mol/L])}÷{溶解した酸(または塩基)の物質量[mol](またはモル濃度[mol/L])}で定義されています。
わかりやすいように式で書くと次の通りです。
出題される場合には電離度が与えられていて、電離した酸の数を求めよなどの方法で利用されることが多いと思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「酸と塩基ってなに?」と題したものでした。
酸と塩基の定義には2種類ありましたが、本質的には同じことを言っています。
しかし、H+の動きのみに注目したブレンステッド・ローリーの定義のほうがわかりやすいかもしれませんね。
実際に水溶液中の化学反応式で酸なのか塩基なのかを見分ける練習をしておくことは重要です。
また、電離度を利用する方法を問題を重ねることで身につけることも重要です。
ぜひ繰り返しご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
コメント