こんにちは。アラフォーパパです。
前回の記事では、「水素イオン濃度の利用」と題して解説をいたしました。
モル濃度や10の累乗の計算など、今まで学んだことを基礎として、pHの計算を行いました。
また、電離度の計算にも水素イオン濃度が関連していましたね。
さらに水素イオン濃度の話題をはってんさせて、中和反応について学んでみましょう。
それではご覧ください。
中和反応
酸と塩基が反応して、互いの性質を打ち消す反応のことを中和反応と言います。
水溶液が中性になることではありませんので注意してください。
中学校で習った時には、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応だったのではないでしょうか。
中和反応は身近な物にも応用されています。
胃薬の一部には胃酸を中和する作用があり、胃の負担を減らしています。
トイレの芳香剤の一部には臭いの原因であるアンモニアを中和するものがあります。
また、青色のスティックのりは塩基性で青く色づくようになって(塩基性で青く変色する指示薬が使われて)おり、空気中の二酸化炭素と塩基性成分が中和反応を起こすことで、色が消えます。
このようにさまざまな現象の裏には中和反応があります。
塩(えん)
中和反応が起きた時に、水素イオンと水酸化物イオンの反応によって水ができますが、それ以外にも塩(えん)ができます。
塩(えん)というのは酸の陰イオンと塩基の陽イオンからなる化合物のことです。
例えば、塩酸と塩化ナトリウム水溶液であれば、水と塩化ナトリウム(NaCl)ができます。
また、硫酸と水酸化カリウムであれば、水と硫酸カリウムができます。
ただし、塩酸とアンモニアの中和では、水はできず、塩化アンモニウムだけが出来上がります。
塩(えん)の分類
中和反応によって生じる塩には、塩の中にHやOHが残っている場合があります。
例えば、硫酸と水酸化ナトリウムの反応ですが、過不足なく中和反応した場合は硫酸ナトリウム(Na2SO4)ができます。
しかし、反応が弱いと塩の中にHが残って、硫酸水素ナトリウム(NaHSO4)という塩になります。
このように酸のHが残っている塩を酸性塩といいます。
硫酸ナトリウムの場合はHが残っていないので、正塩といいます。
また、塩基のOHが残っている場合もあります。
塩酸(HCl)と水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の場合は、正塩であるCaCl2と塩基性塩であるCaCl(OH)2が生じます。
ただし、この塩の分類は水溶液の酸性または塩基性という話とはまったく無関係で、HやOHが残っている塩なのかどうかだけに関わりますので、注意してください。
塩(えん)の液性
酸と塩基によって中和反応が起こり、塩が生じますが、必ずしも液が中性になるとは限りません。
まずは、正塩の水溶液について、最初に確認してみましょう。
正塩の水溶液の性質はその塩をつくる酸、塩基の強弱で決まり、中和する前の酸、塩基のうち強い方の性質を示すことが知られています。
①強酸と強塩基
ともに強い場合には、塩の液性は中性になります。
例えば、硫酸と水酸化ナトリウム水溶液の場合です。
②強酸と弱塩基
この場合は、強酸のほうが強いため、塩の液性は酸性になります。
塩酸とアンモニアの中和反応が代表例です。
③弱酸と強塩基
強塩基のほうが強いですので、塩の液性は塩基性です。
酢酸と水酸化ナトリウムの中和反応を考えるとよいでしょう。
④弱酸と弱塩基
判断できません。
組み合わせによって変わってしまいますので、塩の液性を特定することは不可能です。
さて、問題なのは正塩以外の場合です。
酸性塩を例にあげてみたいと思いますが、塩の液性は組み合わせで異なってしまいます。
1つめの酸性塩は硫酸水素ナトリウムです。
こちらは水溶液が酸性を示します。
2つめの酸性塩は炭酸水素ナトリウムです。
こちらの水溶液は塩基性を示します。
このように様々な性質を示しますので、最低限ですが、この2つの酸性塩の液性を暗記しておけばテストは対応できると思われます。
弱酸の遊離
ある特別な条件のときに、弱酸が遊離するので、紹介したいと思います。
その条件とは、弱酸の塩に強酸を加えると、強酸の塩と弱酸が得られるというものです。
酢酸ナトリウムを例にあげて説明したいと思います。
酢酸ナトリウム(CH3COONa)の水溶液に強酸である塩酸を注いだ場合のことです。
化学反応式でも見てみましょう。
CH3COONa + HCl → CH3COOH + NaCl
強酸の塩が優先的にできてしまうため、弱酸が電離できなくなってしまっています。
それを確かめるためには実際におこなってみたほうがよいのですが、酢酸ナトリウムの水溶液に塩酸をいれると、酢酸の香りがしてくるので、納得できると思います
たなみに、「弱酸の遊離」という言葉が全面に押し出されてはいますが、弱塩基の塩でも同様のことが起こり、「弱塩基の遊離」と呼ばれます。
例としては、塩化アンモニウムの水溶液に水酸化物ナトリウムをいれたときで、アンモニアが発生するので、すぐにわかるため、実験でよく利用されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「中和反応」と題したものでした。
塩酸と水酸化ナトリウムの中和反応を習ったことを思い出しましたでしょうか?
高校では、それ以外の中和反応についても習います。
また、中和反応によってできる塩(えん)について知ることが重要です。
塩の性質を順番に覚えていきましょう。
ぜひ繰り返しご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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