こんにちは。アラフォーパパです。
前回は、「酵素の反応」について解説しました。
酵素に結合するものは基質といいましたね。
酵素と基質が結合すると酵素-基質複合体になり、基質が化学反応すると、生成物ができあがるという仕組みでした。
化学反応のときに必要なエネルギーを酵素は減らしてくれるため、とても反応が進みやすくなります。
体内では、代謝の各段階でそれぞれ酵素があり、代謝の各反応を後押ししています。
今回は、体内に存在する酵素のうち、カタラーゼを使用した実験について解説していきたいと思います。
それではご覧ください。
カタラーゼとは
カタラーゼとは、生体内で発生する過酸化水素を水と酸素に分解する酵素のことです。
過酸化水素水にカタラーゼを入れた場合、過酸化水素を分解して発生した酸素が気体となるため発泡が見られます。
以下に化学反応式を記載します。
ヒトの場合、カタラーゼは4つのサブユニットで構成されており、各サブユニットは526のアミノ酸から成り立っています。
分子量は約24万と非常に大きな分子となっています。
ヘム鉄やマンガンが補因子として挙げられます。
補因子というのは、金属イオンの場合、酵素の働きを拡張するために取り込まれるもののことをいいます。
過酸化水素の分解
触媒を利用した過酸化水素の分解の実験について、解説したいと思います。
触媒の候補としては、カタラーゼと酸化マンガン(Ⅳ)です。
室温で、適量のオキシドール(3%過酸化水素水)を利用して、気体の発生を確認するというものです。
もちろん気体は「酸素」ですが、実験では気体が酸素であると実験的に確定できるまでは不明な気体として扱います。
オキシドールを入れた試験管を4本用意します。
A:オキシドールのみ・・・オキシドールのみで気泡が発生しないことを確認。
B:オキシドールと石英などの結晶(反応しないもの)・・・物理的に何かを入れたことによって気泡が発生する可能性があるので、その確認のための実験(対照実験)
C:オキシドール+カタラーゼ・・・カタラーゼの影響をみる実験。気泡が発生する。
D:オキシドール+酸化マンガン(Ⅳ)・・・酸化マンガン(Ⅳ)の影響をみる実験。気泡が発生する。
まずは、CとDに気泡が激しくでることに注目します。
その気体を水上置換法などで集めるか、または今回用意した試験管内の気体を利用して、火のついた線香を差し入れると炎を上げて激しく燃えるので、今回発生した気体は酸素とわかります。
これは最初に存在している物質が過酸化水素であることから、酸素が予想され、酸素の助燃性を線香を使って調べることで確定しているということになります。
次に、気泡がでなくなった原因を探るために、CとDにオキシドールを追加します。
この場合、オキシドールを加えたことで気泡が再発生するはずですので、カタラーゼや酸化マンガン(Ⅳ)が残っていて、オキシドール中の過酸化水素がなくなったことが、気泡がでなくなった原因であるとわかります。
さらに、触媒がなくなってしまって気泡の発生が止まってしまった可能性を排除する必要があります。
気泡の発生がなくなったあとのCとDに、カタラーゼや酸化マンガン(Ⅳ)を追加することで、確認することができます。
カタラーゼや酸化マンガン(Ⅳ)を追加してもCとDに気泡が発生しないことがわかります。
ちなみに、AとBにカタラーゼや酸化マンガン(Ⅳ)を追加すると気泡が発生します。
このことから、AやBに入れたオキシドールが間違いなく過酸化水素を含んでいることを確認することができ、実際にBに入れたものが触媒として作用しないことを確認することができます。
最後に、反応前後での触媒の変化についてです。
CとDにはカタラーゼや酸化マンガン(Ⅳ)が残っていたことは先の実験からわかりました。
教科書等では、反応前後でカタラーゼや酸化マンガン(Ⅳ)が減少していないと記載しているので、そのまま書いておきます。
(私としては、ここまでの実験では、触媒として使用したカタラーゼや酸化マンガン(Ⅳ)の量が減少していないという実証は出来ていないと思うのですが・・・まぁ間違いなく量は減らないとわかっていることなのですがね。)
>>下関西高等学校のプリント(インターネット上で公開されているもの)
実験についての注意点としては、「カタラーゼを入れる」と書かれない場合があると思います。「動物の肝臓を入れる」のような記載になることがあります。
対照実験の場合、触媒ではない全く関係ない物質名を出してくることもあれば、肝臓を用意して片方を100℃のお湯で煮てから使用(酵素を失活させてから使用)する場合などもあります。
カタラーゼの利用
カタラーゼはタンパク質であり、熱によって変性して活性を失います。
そのため、加熱処理された食品ではカタラーゼが変質して過酸化水素をかけても反応せず、酸素が発生しません。
加熱食品に生物由来の異物が混入した場合は、変質していないカタラーゼが含まれることになるため、異物が混入した時期の推定ができます。
このようにして、食品の安全性を守るために利用されることがあります。
ただし、異物が髪の毛である場合には、毛根がないとカタラーゼが含まれないため、注意が必要です。
他にも、酵母やカビなどでもカタラーゼを持っているために反応してしまうことや機械的刺激により泡が出ることがあります。
様々な注意点があり、結果の利用には十分な背景情報の確認が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は「カタラーゼ」に関するものでした。
カタラーゼを用いた過酸化水素の分解反応については非常に有名なものになります。
テスト問題としては、対照実験も含めて行われる状態で書かれる可能性があります。
実験の内容について、それぞれ意味がありますので、しっかりと確認をしてみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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